ノースフェイスやパタゴニアなどのアウターは、本来のアウトドア用としてだけでなく、タウンユースや普段使いなど、カジュアルウェアとしても高い人気を誇るファッションアイテムです。
私の場合、田舎住まいで半アウトドア的な使い方をしているので、その例に含まれるかどうかは少し微妙ですが、ノースフェイスの『バルトロライトジャケット』を一着、『マウンテンジャケット』を色違いで二着と、気が付けば合計三着のアウトドア系アウターを所有しています。
バルトロもマウンテンジャケットも、本格的なアウトドアから近場への買い物まで大変便利に使えているのですが、最近になってアウトドア系アウターを街着化する上で少し注意しなければならない『とある事』に気付きます。
実は、表地や裏地の一部が化繊で出来ているアウトドア系アウターは一部のコットン系のカジュアルウェアとの相性が悪く、着こなし次第ではアウター側に高確率で色移りしてしまうのです。
盲点だった…『ジーンズ&チノパン』からの色移り
私がこの事に気付いたのは、トップスにノースフェイスのマウンテンジャケット、ボトムスに四年以上も着続けているお気に入りのジーンズを組み合わせた時です。
ジーンズは洗濯を繰り返し、色落ちしない状態まで使い込んだ物でしたが、不幸にも卸し立てだったマウンテンジャケットの裾(すそ)内側は、見事なまでに青黒く染まっていました。
正直、目立たない裾内側の汚れや色移りをいちいち気にしていたら、今後アウターとしてまともに活用できないので、良い機会だったとキッパリ諦めるべきなのですが、マウンテンジャケットは高価な買い物だっただけに、精神的なダメージが大きかったですね。
裾とともに私の表情も青ざめつつ、試しに後述する方法で慌てて洗浄したところ、殆ど目立たないくらいまで色移りを落すことができ胸を撫で下ろしましたが、よくよく調べてみると他にも幾つかの要因が絡んでいた事がわかります。
アウトドア系アウターの多くはザラザラしたナイロン系の表地が使われ、表地が裏側に少しだけ回り込んでしまう裾部分は、さながら番手の大きい紙ヤスリの様な手触りになっています。
その部分がボトムスと接触して摩擦を起こすと、十分に色落ちしたジーンズからでも色移りしてしまう事があり、もう一つの要因として裾にドローコードが備わり、それを引き絞った状態では色移りに拍車を掛けてしまう様です。
なるほど…これは盲点だったと思いつつ、昨シーズンから着用しているバルトロライトジャケットの裾内側も念のため確認してみると、あまり目立たないものの、こちらもジーンズから色移りしているのが確認できました。
因みに、ジーンズ以外のボトムスなら大丈夫では?と考えて、ポリエステル63%、コットン34%、ポリウレタン3%で化繊混紡率が高く、色もダークグレーで大人しいチノパンで試してみましたが、この場合はドローコードを使用しなければギリギリ色移りはしませんでしたが、ドローコードを引き絞り、裾を軽く密着させるとやはり摩擦で色移りしてしまいました。
人によっては『アウターも消耗品だし実用性が最優先でしょ?』と割り切ってしまえる事態ですが、綺麗な状態で出来るだけ長く使い方や、他の人とアウターを共有していたり、該当するアウターを借りたりする場合は、注意が必要かも知れませんね。
急げば間に合う!色移りで私が試した対処法
さて、前項で軽く触れましたが、私が試した色移りした際の洗浄方法について軽く説明しておきます。
ご存知の通り、ノースフェイスのマウンテンジャケットには防水透湿性に優れるゴアテックスメンブレンが使用されているので、『NIKWAX/ニクワックス LOFTテックウォッシュ』などの専用洗剤を使うのがベストなのですが、急だったため手元にありません。
素材はどうあれ、ジーンズからの色移りを落すには染料が繊維に定着してしまう前に素早く洗浄する必要があり、私は手近にあった洗濯用の液体中性洗剤を使って部分洗いをしました。
使用する液体中性洗剤には、柔軟剤・蛍光剤・漂白剤が含まれていない製品がベストで、あえて『液体』を選ぶのは、粉タイプでは生地内部で目詰まりを起しゴアテックスの透湿性を殺してしまう恐れがあるからです。
ぬるま湯を準備し、裾部分に薄く液体中性洗剤を塗り付けてから、歯ブラシやスポンジを使って色移りを洗浄していきますが、アウトドア系アウターはゴアテックスメンブレンが直接露出している訳ではなく、表地は摩耗性に優れるナイロン製なので、ある程度ならゴシゴシ擦っても大丈夫です。
推奨はしませんが、私は面倒だったので使用済みの回転式電動歯ブラシを使いました。
洗浄後、納得できる程度に色落ちが確認できたら、洗剤を完全に落とすためにしつこいくらいに濯ぎを行いますが、未洗いの部分の撥水性が落ちるのが嫌なので、今回は洗濯機を使いませんでした。
洗浄と濯ぎが終わったら、綺麗なタオルで水気を拭き取り自然乾燥させますが、洗浄したことにより裾部分の撥水性が落ちています、『NIKWAX/ニクワックス TX ダイレクトスプレー』などのゴアテックス専用撥水スプレーを持っているなら濡れた状態で塗布し、持っていない場合はそのまま乾燥させます。
最後に仕上げてとして、裾部分に熱を加えて撥水性を復元します、今回は部分洗いなのでスチームオフで中温にしたアイロンを当て布をして使う方法やドライヤーで軽く炙る方法がお手軽でしょうか?撥水スプレーを塗布していない場合でも、ある程度は復元してくれるので、忘れずに行いましょう。
アウトドア系アウターへの色移りを防止する方法は?
前項では、既にアウターへ移ってしまった染料を落す方法を紹介しましたが、ここではアウトドア系アウターへの色移りを未然に防ぐ方法を幾つか紹介します。
裾のドローコードを使用しない
シンプルで一番簡単な方法は、裾のドローコードを使用しない事です。
ですが、マウンテンパーカー系では裾がストンと下に落ちて見栄えが悪くなったり、どのアウターでもドローコードでフィット感を調整しないと、風や冷気が内部に回り込みやすくなる欠点があります。
大半のボトムスでなら、アウターとの摩擦を減らすこの方法で色移りを防げますが、卸し立てのジーンズや染料の強いチノパンの場合は、この方法でも薄く色移りが発生してしまいます。
アウター&ボトムスの配色を工夫する
お洒落や着こなしの幅が制限されてしまいますが、思い切ってブラックやネイビーなど汚れや色移りが目立たないカラーのアウトドア系アウターを選ぶのも手です。
また、ボトムスをホワイトやライトグレー、ベージュやカーキなど、染料が薄く色が落ちづらい物を組み合わせるのもお手軽な方法ですね。
化繊100%のパンツを使う
アウトドア系のアウターは、本来ソフトシェルやハードシェルのパンツを組み合わせて使います、これらのパンツは化繊100%のハイテク素材なので、摩擦による色移りの心配が殆どありません。
とはいえ、街着や普段使いでボトムスまでアウトドア系の着こなしにすると『今日は登山の帰りですか?』とナチュラルに挨拶されかねないので、注意が必要です。
普段使いするなら着心地が大変良いソフトシェルパンツがオススメで、カジュアル系ならノースフェイスの大ヒット商品『アルパインライトパンツ』あたりが鉄板ですね。
着丈の長いインナーを着用する
アウター以外をカジュアルでまとめたい時に一番効果的な方法がコレです。
アウトドア系アウターよりも、着丈が5cm前後長めなインナーを選ぶのがポイントで、この方法を使えば、ボトムスに何を着てもアウターの裾に色移りしません。
代償として、インナーの裾に色移りしてしまうので高価な物は不向きですが、一般的なシャツやロング丈のTシャツまたはカットソーの使い勝手が良さそうです。
私の場合、マウンテンジャケットの着丈が73cmだったのでインナー選びに苦慮しましたが、スノーボード用のロング丈パーカーやスウェットが大変役立ちました。
これらは裏起毛であたたかく、雪や雨に対する撥水機能も備えているので、真冬に重ね着が必須なハードシェルジャケットとは、抜群に相性が良いです。
因みに、使うインナー次第ではインナーからアウターに色移りしてしまう事もあるので、こちらも染料の有無やカラーリングには注意が必要です、ホワイトかライトグレーあたりが無難でしょうか。
撥水加工 ロング丈
まとめ
私の場合、ジーンズを組み合わせる時はスノーボード用ロング丈スウェットをインナーに着用し、それ以外は色移りの心配が無いソフトシェルパンツを使用しています。
アウトドア系のマウンテンパーカーやダウンジャケットをカジュアルウェアとして100%活用したいなら、色移りなんで気にしないのが一番ですが、綺麗なままで使い続けたい方は今回紹介した方法を試してみては如何でしょうか?
余談ですが、私の所有するマウンテンジャケットはビーチグリーン(BC)よりも、ファイアリーレッド(FR)の方が色移りが目立ちました、シーンズからの色移りを気にしたくないなら同じ青系統のソーダライトブルー(SD)が最強かも知れませんね。