もはや紐なし靴の代名詞と言えるほど有名になったメレル社のジャングルモックですが、人気が定着しリピーターが増えるにつれて、ちょっとした不満も囁かれる様になってきました。
その中でも大多数なのがアウトソールの『滑りやすさ』に関してで、雨に濡れた大理石やマンホールの上でヒヤッとした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
製造元のメレルはこの欠点を補うために、ジャングルモックAC+(エアークッションプラス)などの新型のジャングルモックを幾つかリリースしてはいますが、自社製のメレルソールでは劇的な変化が望めない状態です。
世界的な大ヒット商品だけに自社製アウトソールに拘りたくなるもの理解できますが、ここに来て漸くアウトソールにビブラムを採用した『ジャングルモック2.0』が登場しました。
私は冬場に足場の悪くなる雪国育ちのせいか、従来型のジャングルモックでも滑りやすいと感じた事はありませんが、新作のジャングルモック2.0はアウトソールのビブラム化以外にも見た目がスッキリとリファインされているなど、なかなか魅力的な仕様に生まれ変わっています。
たまたま買い替えの時期が重なり、本来ならいつも通りに従来型のジャングルモックをチョイスする予定でしたが、私好みのスッキリとした見た目がツボに入ったので、今回は新作のジャングルモック2.0を購入してみる事にしました。
どれが好み?ジャングルモックのバリエーションについて
細かいものまで含めるとかなりの数に上りますが、現在リリースされているジャングルモックは画像左上の『無印ジャングルモック』、画像右上の『ジャングルモックAC+』、画像下の『ジャングルモック2.0』の三種類が代表的です。
無印ジャングルモックにはアッパーにオイルレザーやゴアテックス、通気性の良いメッシュ生地が使われた物もあり、記念モデルを含めると把握しきれない数のバリエーションが存在しています。
ジャングルモックAC+は無印ジャングルモックの後継と言うよりもバージョン違いと言った印象で、クッション性とグリップ力の強化、軽量化や新しいデザインに特徴のある製品です。
三種類のジャングルモックで一番違いがハッキリしているのがアウトソールで、冒頭で触れた通り無印ジャングルモックの後継となるジャングルモック2.0にだけビブラムソールが採用されています。
歩き方に癖がある方が無印ジャングルモックを履くと、アッと言う間にアウトソールが減ってしまうそうですが、作りが単純なのでDIYで補修する方も多い様ですね。
厄介なのがAC+で靴底の小指側に接着されたアウトソールのポッチが、短期間が剥がれてしまう事があるそうです。
滑りづらさや耐久性はビブラムソールを採用したジャングルモック2.0に軍配が上がますが、網目状の複雑なアウトソールを使用している影響で、踵が擦り減っても自分で補修すると言った行為が難しくなりました。
見た目やグリップ力で選ぶなら新作の2.0、アウトソールの減りが激しい方は無印と言った感じでしょうか?正直、AC+はアウトソールが貧弱過ぎて選択肢に入らないと思います。
期待の新型『ジャングルモック2.0』の質感・サイズ感は如何に?
さて、早速ジャングルモック2.0を購入してみました。
メンズのカラーバリエーションはBoulder/ボウルダー・Dusty Olive/ダスティーオリーブ・Granite/グラナイトの三色です。
どうやら一番人気はグレー系のグラナイトの様ですが、経験上ピッグスエードのアッパーは土埃を吸着しやすく、色が濃いと退色もしやすいので、ズボラな私は汚れが目立ちづらくお手入れも楽そうなボウルダーを選びました。
どのジャングルモックにも強い撥水加工が備わっているので汚れに強く、ほぼメンテフリーな使い心地ですが、スエード用ブラシがあれば埃やくすみを簡単に綺麗に出来るので、コロンブス製のスエードブラシ【B】か【C】のどちらかは手元に備えておきましょう。
因みに、レディースカラーの方が配色がお洒落で、アウトソールにタンカラーがあるなど黒一辺倒のメンズとは一味違った魅力があります、私はどうあがいても無理ですがサイズが25cmまでならレディースを選ぶのも手でしょうか。
今回、ジャングルモック2.0を選んだ決め手として、見た目がスマートに改良された点とミッドソールに差し色加わった点が挙げられます。
無印ジャングルモックのずんぐりした見た目は、人によっては可愛らしく感じますが、個人的にボリュームがありすぎて、木靴を履いている様な外観の野暮ったさが少し気になっていました。
また、アウトソールが真っ黒だとアッパーのボリューム感にプラスされて、ますます足元が重く見えてしまうので、出来れば少し明るめのカラーが欲しかったのです。
その点、今回購入したジャングルモック2.0は十分に合格点で、紐なしスニーカーやスリッポンに近いカジュアルで軽快な印象に仕上がっているでしょうか。
踵部分のバックショットもなかなかお洒落で、プルバックの赤い差し色が良いアクセントになっていますね。
因みに、無印から足入れ口の形状が変更になり、プルバック(プルストラップ)には持ち手のループが無くなっています。
ソールはもちろんビブラム社製が採用されています、ビブラムソール言えば靴底が擦り減ってもお手軽に貼り替えできるイメージがありますが、この手のタイプは残念ながら使い捨ての消耗品となります。
先程も軽く触れましたが、履き口の形状が無印ジャングルモックとは異なり、ループ状のプルバックが廃止され踵が耳付きの形状に変化しています。
以前よりも着脱が楽になり、個人的に無印よりもこの部分の足当たりが良く感じました、私は無印ジャングルモックを素足で履くと靴ズレが出来ますが、2.0は履き口部分の布がソフトなので素足で履くことができました。
私はたまたま相性が良かったですが、人によっては踝部分が無印よりも擦れやすい形状に感じるかも知れませんね、この辺は個人差があるので素足派の方は注意しましょう。
フットベッド関しては大きな変化は無く、より履き心地を重視したいならクッション性の高いインソールを別途で準備しましょう。
さて、肝心のサイズ感ですが、無印と比べて見た目がスリム化しているために足幅は若干狭くなっています、とは言えシューズ前方部分の足囲には大差はなく、どちらかと言えば土踏まずから踵までのフィット感が増し、ヒールカップの安定感が強化された印象でしょうか?
実際、足幅よりも大きな変化があったのは足長の方で、無印と比べて2.0は1cm程度大き目な作りになっていました。
私の場合、無印ジャングルモックは28cm(10サイズ)を選びますが、ジャングルモック2.0ならワンサイズ小さい27.5cm(9.5サイズ)で丁度良いサイズ感です。
個人差は当然ありますが、ジャングルモック2.0は足先に余裕を持たせた作りになっているので、無理に大き目のサイズを選ぶ必要はありません。
仮に、素足での足長の実寸が27cmの場合なら、素直に27cm(9サイズ)を選ぶのが正解です。
試しに計量してみると、28cmサイズで片足348g、ペアで696gでした、無印はペアで900g弱ですから、200g近く軽量化されていることになりますね、AC+のノウハウが活かされている様です。
まとめ
散歩を兼ねて5kmほど履き慣らししてみましたが、履き心地やクッション性の良さはしっかりと無印ジャングルモックから継承されていました。
夏場に履くと若干蒸れますが、オールシーズこれ一足で十分賄える使い勝手の良さは相変わらずですね、ジャングルモックシリーズに慣れると、紐靴が面倒に感じるのが唯一の欠点かも知れません。
余談ですが、ジャングルモックシリーズはサイズが28cm(10サイズ)を超えると1cm刻みでしかサイズを選べません、新型の2.0は前述の通り大き目な作りになっているので、今まで28.5cmが無くて困っていた人にはちょっとだけ有難い存在になりそうです。