冷たい風が吹きつける、秋冬のシーズンには暖かなアウターが欠かせません。
ウールのコートやダウンジャケットなど、防寒性と共に高いファッション性を兼ね備えている事から、アウターは毎年必ず買い替える!といった方が多い反面、何かと疎かにされがちなのが下半身の防寒です。
上半身の防寒さえしっかりしていれば、下半身はボトムス一枚かタイツ併用くらいで十分でしょ?と思うかも知れませんが、厚手のアウターに包まれる上半身に対して下半身は冷たい風に晒されやすく、バイクや自転車ではそれが顕著にあらわれます。
風速1mで体感温度が1度下がる計算ですから、気温5度で風速5mなら体感温度は0度の寒さですし、自転車やバイクで時速15kmで移動している場合なら、気温に関わらずそれだけで体感温度が4度も下がってしまいます。
防寒には冷たい風をシャットアウトする“防風”が欠かせず、例え発熱を謳った機能性インナーを併用したとしても、あたたまった空気が風に攫われてしまっては無意味です。
寒さの厳しい北国に住む私は、数年前から防寒・防風性に定評があり種類も豊富なEDWIN/エドウインの防風ジーンズ“WILDFIRE/ワイルドファイア”を愛用していますが、今回はこのワイルドファイヤの感想と共に防風に関するちょっとした裏技についても話題にしてみたいと思います。
私が『WILDFIRE/ワイルドファイア』を選んだ理由
防風パンツを選ぶ上で、高い防風性と機能性を求めるならアウトドアメーカーの製品が確実ですが、私は街着として使っても違和感の無いカジュアルな防風パンツを探していたので自ずと選択肢は絞られました。
有名処では、ユニクロからも毎年の様に防風パンツがリリースされ、年々品質も向上しています。私もコスパの良さからこの辺がベストかな?と思っていたのですが、思わぬ落とし穴がありました。
実はユニクロでは既に防風タイプのジーンズを販売しておらず、非防風のヒートテックジーンズが主力になっていたのです。
ユニクロの防風パンツは主役がイージーパンツにシフトしていて、カジュアルならこれでも良いか…と試してみたのですが、シルエットが野暮ったい上に埃がまとわり付きやすい素材が使われ、どうやら私の求める物とは違う様です。
結局のところ、消去法という後ろ向きな理由でワイルドファイアを選ぶ事になったのですが、防風性は勿論のこと、種類やシルエットの豊富さに大満足してしまい、その後はシルエットの異なるワイルドファイアを2年連続で購入しています。
余談ですが、個人的にイマイチな評価だったユニクロの防風パンツは、2018年からイージーパンツのシルエットが見直され、ジーンズの代わりに細身の防風チノパンがラインナップされています。防風チノパンは防風ジーンズ同様にいつ生産終了になってもおかしくないので、今のうちに確保しておきたいところでしょうか。
防寒・防風性は如何に?ワイルドファイアの感想
さて、肝心の防寒・防風性についてですが、曇天で気温5度、風速6mの状況で4時間ほど歩き回ってみた時の感想をまとめてみます。
体感温度はほぼ0度で、下半身は当然下着とワイルドファイアのみでの外出ですが、出だしから普通のジーンズとの違いを実感します。
普通のジーンズにアンダータイツを着用した状態よりも暖かく、謳い文句の通り全く下半身に風を感じません。
起毛した裏地の肌触りも良く、ジーンズ=寒くて冷たいという評価は全く当てはまらない感じでしょうか。防風フィルムを挟んだ3層構造なので、暑すぎたり蒸れたりする心配がありましたが、フィルムには透湿性があり不快感はありませんでした。
防風性は確かなものの、4時間も外気にあたっていると流石に冷気が生地越しに伝わって来ます。それでも、ジーンズにアンダータイツの組み合わせと同じくらいの暖かさで、実際に先に冷え切ってしまったのは、防風フィルムの入っていないソフトシェルジャケットを着用した上半身の方でした。
気温が0度くらいまでなら、上半身にダウンジャケット、下半身にワイルドファイアで十分に冬が越せますし、バイクや自転車に乗る方や私のように長時間屋外にいる方はアンダータイツを併用する事で更に暖かく過ごせると思います。
ただし、撥水機能は備えていないので雪や雨のときは素直にオーバーパンツを着用しましょう。試しに表地を霧吹きでテストしてみましたが、フィルムが入っているせいか水の浸透はかなり緩やかで、裏地に水気を感じるまでに結構な時間が掛りました。
ワイルドファイアの種類とサイズ感について
ワイルドファイアにはジーンズタイプ以外にも、着心地の柔らかいジャージーズやスウェットタイプ、縦ポケットのトラウザータイプやチノパンタイプなど、豊富に種類が存在しています。
毎年の様に新作がリリースされるので、旧モデルも含めると相当な数になりますが、同じワイルドファイアでも防風性が無く裏地が起毛素材になった2層構造のパンツもあるので注意が必要です。防風性を求める方はフィルムを挟んだ3層構造の製品を選びましょう。
ジーンズタイプのワイルドファイアはエドウイン定番の503を基本としたレギュラーストレートが主流で私が初めて購入したモデルもこれでした。
癖のないスタンダードな形状をしていますが、テーバードやスキニーなど、すっきりと細身な今風のジーンズを穿き慣れていると、全体的に野暮ったく感じるかも知れません。
私はアンダータイツの併用を予定していたので、念のためワンサイズ大きめを選びましたが、ユニクロのスリムフィットジーンズとサイズ感を比較すると、503ワイルドファイアは2サイズほど大き目な作りです。
また、ワイルドファイアシリーズには今風のレギュラーテーパードやスリムテーパードなど裾にかけて先細りになったモデルも登場しているので、ジャストサイズでスッキリと着こなしたい方はこちらを選んだ方が良いでしょう。
着心地の向上や生地の軽量化など数年前の503と比べて確実に進歩し、3層構造にも関わらずゴワつきを感じさせない仕上がりです。
因みに、ワイルドファイアシリーズにはレディース用は存在せず、代わりに女性用として“BODY FIRE/ボディファイア”と言うシリーズが準備されています。
ウールや発熱素材による暖かさは十分なものの、残念ながら防風フィルムは未使用で、女性用の暖パンという扱いになるでしょうか。
参照元:エドウインショップ
ちょっとした裏技『防風インナー』で普通のパンツをプチ防風化
さて、実は今回紹介している防風パンツやオーバーパンツを使わなくても、普通のパンツやジーンズをプチ防風化できるお手軽なアイテムが存在します。
ワークウェアを製造している”おたふく手袋”が手掛けたインナーで、商品名は“ボディータフネス 防風パワーストレッチ”です。
このボディータフネスシリーズは、コスパに優れ汗冷えしづらい事から、スポーツ用や普段使いでも人気の高かった製品ですが、新作として防風タイプの上下インナーがリリースされ、一時は入手が困難なほどでした。
デザインはかなり奇抜ですが、ストレッチ性のある生地の表面には防風性のあるポリウレタンコーティングが施され、裏面は保温性に優れる微細裏起毛の2層構造になっています。
防風アウターではなく、防風インナーと言う珍しい製品で手持ちのパンツやジーンズの下に着用するだけで、厳しい寒さにも対応できてしまう優れモノです。
ポリウレタンコーティングということで透湿性や耐久性が気になるところですが、激しいスポーツでもしない限り氷点下で大量の汗をかく事は稀ですし、裏起毛なので汗処理は苦手ではない様です。
耐久性は使い方に依ると思いますが、安価なのでワンシーズンで使い切るくらいのつもりで購入するのが吉でしょうか。
どうやら、この防風タイプは季節商品らしく、時期を逃すと来シーズンの再入荷まで待たなくてはいけません。9月頃から取扱いが開始される様なので、気になる方は寒さが本格化する前にチェックしておきましょう。
おたふく手袋 ボディータフネス 防風パワーストレッチ
ロングタイツ JW-193
まとめ
ユニクロの防風パンツもエドウインのワイルドファイアも、防風性を実現するために生地の間にフィルムを挟んでいます。
以前のユニクロ製はこのフィルムが数年で劣化してしまう欠点があり、ワイルドファイアでも同じ現象が起こるのでは?と不安になりますが、ユニクロ製とは異なる防風フィルムが使われているらしく、3年間使用しても特に劣化は見られないそうです。
因みに、今回紹介した防風ジーンズの上位互換として生地にゴアテックスを挟んだ“GORE-TEX パワーエイジデニム”という製品もあります。
ゴアテックスだけあって高価ですが、防風だけでなく防水性や透湿性を備えた、バイク乗りに打って付けなジーンズに仕上がっています。