一昔前なら、スキニージーンズは好き嫌いがハッキリと分かれる
少し癖のあるファッションアイテムでしたが
昨今は男女を問わず、すっかり定番化した印象があります。
市販されている大半のスキニージーンズには
伸縮性に富んだ『ポリウレタン』と呼ばれる化学繊維が混紡されていて
これが、細身でスッキリとした見た目と
窮屈感の無い着心地を両立させています。
ポリウレタンはスキニージーンズに限らずストレッチ性のある様々な衣類に利用され
着心地の良さを謳い文句にした製品では当たり前の存在となっていますが
実は、使用頻度に関わらず約3年で経年劣化してしまう欠点があるのです。
一種の時限爆弾?ポリウレタンの加水分解とは
ユニクロなど、一部の良心的なアパレルブランドでは
製品に注意書きがされているため、ご存知の方も多いのではないかと思いますが
衣類に混紡されているポリウレタン繊維、接着用の樹脂、防風用のフィルムには
水分と反応する加水分解という性質があります。
このポリウレタンの加水分解は製造直後から容赦なく始まり
ヘビーローテーションで着倒しても、クローゼットの奥で肥やしにしても
使用頻度に関わらず、約3年でポリウレタンをボロボロにしてしまいます。
雨や湿気のある外気、体から発する水分も経年劣化を進める原因ですから
着用頻度を低くすることで、少しだけ寿命を延ばすことも出来ますが
約3年で駄目になってしまう時限爆弾の様な特徴には抗えず
ポリウレタンの割合が高いほど、経年劣化が顕著に現れます。
スキニージーンズの場合、ポリウレタンの混紡率は5%未満が大半なので
3年以上経過しても繊維全体がボロボロになってしまう事はありませんが
膝が伸びて元に戻らなくなったりなど、主にストレッチ性の部分に影響が出ます
着心地を良くするためにポリウレタンが混紡されている以上、劣化は避けられませんが
購入の際は出来るだけ混紡率の低い製品を選んだ方が良いでしょう。
因みに、ストレッチ性に定評のあるユニクロの
ウルトラストレッチスキニーフィットジーンズは
コットン90%、ポリエステル8%、ポリウレタン2%の構成になっていて
ポリウレタンが控えめになっています、代わりにポリエステルの混紡率が多めですが
同じ化学繊維でもポリエステルは大変水に強く、加水分解が起こりづらい素材なので
ポリウレタンとポリエステルを混同しない様に注意しましょう。
まとめ
ポリウレタン混紡の衣類は、使用頻度に関わらず
加水分解によって経年劣化してしまいますが
物によって『3年しか使えない』または『3年も使える』と意見が分かれます。
普段使いにによる劣化や着こなしの流行り廃りが激しいジャンルの衣類なら
ポリウレタンの有無にそれほど神経質になる必要はないと思いますが
高額になりがちな上に、通年使用しないアウター類は
購入の際にラベルをしっかりと確認したほうが良いでしょう。
また、安価な靴やスポーツ用のスニーカーやブーツにも
劣化しやすいポリウレタンや接着用の樹脂が多用されているので
外見に劣化が見られない場合でも、3年を目安にして
製品寿命に気を配った方がトラブルを避けられます。
どのファッションアイテムの場合であれ
ポリウレタンや樹脂を使用している以上、経年劣化は避けられず
セールなどで前シーズン・昨シーズンなどの型落ち品を購入する場合は
売れ残った期間の分だけ寿命が短くなっていることを忘れてはいけません。
最後に、日本国内ではポリウレタンと呼ばれることが多く
ラベルにも同様に表記されていますが、インポート物ではポリウレタンではなく
エラスタン(elasthanne)やスパンデックス(spandex)
と表記されている場合もあるので注意しましょう。