『本当に欲しい物は、今欲しい物に邪魔される…』うろ覚えですが、そんな諺があった気がします。
欲しい!欲しい!と思いつつも何故かタイミングが合わず、結局買えずじまい…私にとってそんな存在だったのが今回の主役となる『レッドランロングパンツ』でしょうか。
【追記】旧「レッドランプロロングパンツ」⇒新「レッドランロングパンツ」に名称がリニューアルされています。
さて、レッドランロングパンツとは一体何ぞや?と思うでしょうが、コイツはノースフェイスが秋冬の定番商品として毎年リリースしているダウンパンツの一種で、冬場のスポーツやランニング用としてだけでなく、街着や普段使い用としても高い人気を誇っています。
元がスポーツ用なだけに、中綿には水濡れに弱いダウンではなく化繊素材のプリマロフトが使われていたり、シルエットも膝から裾にかけてスッキリと細身に仕上っていたりと、よくある野暮ったいダウンパンツとは一線を隔す作りになっていて、この辺が普段使い用としても重宝される理由でしょうか。
私自身、どうして毎年買い逃してしまうのか不思議でしたが、最近になってようやく購入することが出来ました。実に三年越しですね。
正直、ダウンパンツというよりも暖パンに近い位置付けなのかも知れませんが、今回はスキニーライクに着こなせる異色のダウンパンツこと、ノースフェイスの『レッドランロングパンツ/Red Run Long Pant』を話題にしてみたいと思います。
お手入れカンタン!『レッドランロングパンツ』の特徴
上画像を見ると一目瞭然ですが、レッドランロングパンツは中綿入りとは思えないほどスッキリ着こなすことができます。別カラーの画像を見るとわかりやすいですが、膝から裾にかけては中綿が存在せず、厚手のフリース素材を使った俗にいうハイブリッド仕様になっています。
暖かいのはわかっているけど、どうしてもあの野暮ったい見た目がイヤ!といった理由から、今までダウンパンツを避けていた方には渡りに船な製品でしょうか。正直、私もこの細身のシルエットにやられました、何気にレディース用があるのも見逃せません。
因みに、ノースフェイスにはレッドランロングパンツによく似た『ハイブリッドテックエアーインサレーテッドパンツ』という製品もあり、こちらは機能性が控えめになっているかわりに若干カジュアル寄りな作り。
他にも、膝下まで中綿が備わりつつも細身に仕上がった『エニータイムインサレーテッドパンツ』という防寒パンツまで存在し、レッドランよりも普段使いや軽めのアクティビティに向いた仕様になっています。
エニータイムインサレーテッドパンツの方がレッドランよりも従来のダウンパンツに近い性質なので、運動量の少ない用途や、現在のパンツの防寒性を底上げしたいと考えている方は、こちらを選ぶのも手でしょうか。
さて、冒頭でも軽く触れた通り、レッドランロングパンツの中綿にはダウンやフェザーといった天然素材ではなく、濡れても保温性が失われず、洗濯も簡単な『プリマロフト』が使われています。
ダウンに代わる新素材として、最近はプリマロフトやシンサレートを利用したアウターや寝具も増えているので、名前くらいは聞いたことがある方も多いハズ。
化繊中綿を使ったダウンパンツには、コスパに優れるワークマン製なんかもありますが、あちらはワンシーズンで使い捨てにするような作りだったり、透湿性に乏しく蒸れやすかったりするので、やはり値段なり…といった感じでしょうか。とはいえ用途を絞れば悪くない選択肢ですね、防寒目的オンリーなら十分ですし人気の高さも頷けます。
さて、大雑把ですがレッドランロングパンツの特徴をまとめると、ダウンパンツというよりも中綿入りで暖かいスキニージャージといった印象になるでしょうか?冬場のランニング用として膝下をシェイプした結果、意図せずおしゃれな仕上がりになってしまった…そんなダウンパンツだと思います。
余談ですが、レッドランロングパンツはスキニーパンツに近いシルエットということで、ロング・ミドル丈のアウターやオーバーサイズ気味のアウターと相性が良いですね。
特にミドル丈のアウターとコーデすると、ちょうど中綿入りのボコボコした部分が隠れてくれるので、より街着として着こなしやすくなります。
レッドランロングパンツの詳細・サイズ感は?
例年なら寒さが本格化して『やっぱり必要かも…』なんて思った頃には既に完売パターンでしたが、今回は十二月の頭くらいに何とか手に入れることができました。
毎年、一月くらいになると完売が目立ち、不人気カラーの在庫しか残っていないので、確実に購入したいなら十一月頃から狙いを定めておきましょう。実売価格の安いお店から完売するので早め早めが肝心です。
プリマロフトの中綿はサーモボールプロと呼ばれるボール状になった物が封入されています。手触りだとロフトは1cmに満たない感じですが、この部分が過剰すぎると膝下に比べてお尻や腰まわりだけがポッコリと膨れて不格好になるので、このくらいが丁度良いのかも知れません。
パンツ全体で中綿の入っている範囲は膝丈のハーフパンツくらいになるでしょうか、この部分の表地には防風性と耐摩耗性に優れるパーテックスカンタムが使用され、冷気に侵入を防ぐとともに溜まった熱が逃げづらい作りになっています。
腰まわりの裏地は汗で張り付きづらいメッシュ地、ウエスト部分は紐を引き絞って調整します。因みに生地にストレッチ性があるのであまり気になりませんが、股上はやや浅く感じました。
ポケットは左右の腰部と右臀部の合計三箇所です。ジッパー付きは右臀部のポケットだけなので貴重品の定位置はココになりそうですね。左右ポケットも浅くはありませんが、ランニングなどの本来の用途で使う場合は要注意です。
先ほど、中綿封入部分と防風部分は膝丈のハーフパンツと同じくらいの範囲だと説明しましたが、例外となるのがこの部分ですね。蒸れやすい内股部分は膝下と同じく肉厚なフリース生地のみの作りになっています。
因みにベースとなっているフリース生地は、肉厚な上に表面はジャージのように滑らかで、どちらかといえばネオプレン素材に近い印象ですね。
一般的なフリースよりも摩耗に強く毛羽立ちづらい上にモチモチとして着心地が良く、この部分にも卒なく撥水加工が施されています。
何度も説明しているように、膝下からは中綿がオミットされています。この部分はスキニーやタイツに近いフィット感になっていて、自転車に乗る際でも裾バンドが不要なくらいです。
実はこの仕様はスニーカーやミッドカットのシューズと相性が良く、同じノースフェイスのヌプシブーディーと組み合わせている方も多いですね。
因みに、パンツの表面も裏面も中綿の範囲は膝の上までですが、表面だけは膝部分の冷えを防ぐために防風性のあるパーテックスカンタム生地が膝下まで延長されています。
アウトドアウェアにはお馴染みの光景ですが、機能性を象徴するタグが大量に付いています。レッドランロングパンツはストレッチ性・静電ケア設計・ウインドプルーフ・ウォーターレジスタントなどの機能性を備えていますが、地味に有難いと感じるのは静電ケアですね。
ナイロン素材は埃が付着しやすく、さらに黒いパンツはその埃が目立ちやすいのですが、この機能のお陰で軽くパンパンと払うだけで簡単に埃が離れてくれます。
さて、肝心のサイズ感ですが、スキニーパンツっぽい見た目だけにメンズLサイズはやや小さめですね。いつもは同じノースフェイスならMサイズを選ぶこともある私ですが、これは完全にLでジャストフィットでした。
メンズLサイズを平置実寸すると、【ウエスト】74~86cm 調節可【ヒップ】104cm【股上】前24cm/後29cm【股下】75cm【ワタリ幅】28cm ※股合わせから10cm下【膝幅】20cm【裾幅】14cm、くらいですが、膝から下はスキニージャージや緩めのタイツ的なフィット感になりますね。
おそらく、普段Lサイズの方なら一番大きいXLサイズでも普通に着られると思いますが、中綿入りなだけにサイズアップは程々に…というのが正直なところでしょうか。
レッドランロングパンツの防寒性は如何に?
最後にレッドランロングパンツの防寒性を散歩のついでにテストしてみました。気温は0度、風速はやや強めの7m、天気はご覧の通り晴天ですが雲がやや多めです。
因みに画像の中央下部をよ~く見てみると…
こんな感じで車止めの大半が雪に埋もれている状態です。
北国&雪国なので慣れっこですが、一晩で降り積もった割には中々の積雪量です。これでも風の影響で雪が堆積しづらい場所なんですけどね…
さて肝心の防寒性ですが、中綿&防風素材の部分はほぼ完璧ですね、暖かいのはもちろんですが暑過ぎたり蒸れて汗だくになるといったこともなく、ランニング用として作られただけに快適さは折り紙付きです。
続いて、このパンツ最大の不安要素である中綿&防風素材に覆われていないフリース部分です。強風を受けると流石に冷気を感じますが予想していた程ではなく、某ユニクロの裏ボア付きスウェットパンツくらいの防寒性でしょうか、受ける冷気は思いのほかマイルドです。
感覚的に弱風で気温5~10度くらいならレッドランロングパンツ一枚で十分、この気温で強風なら薄手のタイツをインナーに追加、弱風で気温0度の場合も同様、強風で気温0度以下なら厚手のタイツをインナーに追加といった使い方になるでしょうか。
太い血管が通っている大腿部や冷えを感じやすい腰部には中綿があるので、太腿・腰部・足首の三箇所さえ守られれば、脛部分の露出はあまり問題にならないのかも知れませんね。
まとめ
三年越しにようやく購入できたレッドランロングパンツでしたが、概ね満足いく買い物でしたね。見た目がシンプルなのでカジュアルウェアとしても使いやく、寒い日の外出は本当にこればっかり着ています。
保温性と共に、軽さや携帯性が求められるキャンプや登山用にはガチなダウンパンツの方が向いていますが、近ごろ増殖中の化繊ダウンパンツもなかなか侮れませんね。
濡れても保温性が損なわれないのもそうですが、何より汚れてもお手軽に洗濯できてしまうのが最大の魅力でしょうか。
この先、動物愛護の観点からダウンに置き換わる形で化繊中綿が普及する筈なので、現在主流となっているプリマロフトやシンサレートの二つくらいは覚えておいて損はありません。
余談ですが、ノースフェイス以外では、FOXFIRE/フォックスファイヤーも「パワーフィルハイブリッドパンツ」という細身のインサーレーションパンツをリリースしています。
「やっぱり膝下にも中綿が欲しい……」そういった不満がある方は、この防寒パンツに注目してみましょう。