このブログではビッグサイズやトールサイズなど、いわゆる特殊サイズの服について話題にすることがあります。
日本人の場合、身長180cm以上の男性は7%以下、身長が170cm以上の女性は2%以下ですから、トールサイズに関して言えば大半の方は無縁な話になるかと思います。
ですが何事にも例外がある様で、ちょっとでも体格に恵まれると途端にサイズ選びが困難になってしまう、厄介なファッションアイテムが幾つか存在します。
トップスよりもボトムスの方がその傾向が強いのですが、その代表選手とも呼べるのがジャージとカーゴパンツの二つで、80cm前後の標準的なウエストサイズで股下丈(レングス)が84cmを超えるパンツを探すのが本当に困難なんです。
ジャージに関してはJASPOサイズと言う理由があり、不満を持ちつつも納得できる部分があるのですが、カーゴパンツについては未だに謎が多いです。
トールサイズ並みにレングスの長いカーゴパンツは相当なレア物ですし、種類によっては全く見付からないのも普通です。
流石に海外のゴツい軍人さんが着ているミリタリーカーゴなら普通に見付かるんじゃない?と安易に考えてしまいますが、実際は股下84cmくらいが上限で、それ以上のサイズは滅多にお目に掛れません。
前置きが長くなりましたが、今回はカーゴパンツが短い理由や股下丈(レングス)が長めのカーゴパンツを入手する方法について話題にしてみようと思います。
【考察】カーゴパンツの股下が短い理由
どうして股下の長いカーゴパンツが見付からないのか?これに関しては前述した通りジャージのJASPO規格の様な明確な答えが見付かりません。
“カーゴパンツ/CARGO PANTS”はジーンズと同様に、元々は作業用ズボンで貨物船の荷役作業で使われたのが始まりです。その後、使い勝手、動き易さ、丈夫さを兼ね備えている点から軍用のパンツとしても使われるようになりました。
あくまでも私の推測ですが、ミリタリーブーツと組み合わせて使う場合に通常のズボンと同じレングスだと、生地が必要以上に余りブーツインの際に邪魔になってしまう事が考えられます。
また、例えブーツインしていない場合でも、作業中に邪魔にならない長さの方が何かと便利で、足さばきを考えたジャージと同様の配慮が想像できます。
他にも、ドローコードやジップなど機能的な仕掛けがパンツの裾部分に組み込まれているため、ジーンズやチノパンの様にあらかじめ長めに作って、後は自分で裾上げして下さい的な方法が使えないのも一因ではないでしょうか。
推測の域を出ないので、これらがカーゴパンツの股下が短い理由だと断言は出来ませんが、少なくともミリタリー色の強いカーゴパンツほど股下の短さが顕著に現れるのは確かです。
カーゴパンツの種類と股下丈(レングス)の違い
股下丈(レングス)が短い傾向にあるカーゴパンツですが、トーサイズと言わないまでも一般的なカジュアルパンツと同程度のサイズは欲しいところです。
実際に探してみるとわかりますが、有名処のカーゴパンツはMサイズで股下丈が81cmくらい、ウエストがぶかぶかになるのを覚悟してワンサイズ上げても1cmアップがが精々です。
一口にカーゴパンツと言っても、綺麗めなドレスカーゴから厳ついミリタリーカーゴまで結構な種類があり、レングス長めのサイズを見付けやすい種類とそうでない種類に分かれます。
ドレス系カーゴパンツ
スラックスや綺麗めのチノパンにマチなしのポケットが設けられた、大人が着られるフォーマル寄りのカーゴパンツです。
センタープリーツが入った物も多く、カーゴパンツ特有のポケットはアクセントとして申し訳程度に備わっている場合が殆どですが、仕上がりはスラックスとほぼ同じなので、裾上げを前提とした股下丈の長いサイズが多く見られます。
一番楽にレングス長めなカーゴパンツが見付かりますが、カーゴパンツが持つラフさや無骨さが全く無いので、ちょっとしたアウトドアや普段履きにはあまり向いていません。
代表的なブランドには”GERMANO/ジェルマーノ”や”PT01/ピーティーゼロウーノ”など値の張るイタリア製ブランドが目立ちますが、紳士服専門店などで安価に売られている場合もあり、意外な穴場になっています。
ワーク系カーゴパンツ
ドレス系カーゴパンツに似ていますが、ベースがチノパンやワークパンツなのでややカジュアル寄りな仕上がりです。
生地や作りの丈夫さに重点が置かれた製品が多く、こちらもチノパンやワークパンツにマチなしポケットをアクセントとして設けた物が目立ちます。
全体的にシルエットが太めで”Dickies/ディッキーズ”や”RED KAP/レッドキャップ”、”Carhartt/カーハート”などお馴染みのワークウェアブランドが名を連ねますが、国内で手に入るワーク系カーゴパンツは物は総じてレングスが32インチ相当の82cmが上限になっています。
カジュアル系カーゴパンツ
安価な製品が多くシルエットや素材も多種多様ですが、大半が股下82cm未満とレングスは普通のボトムスよりも短めです。
一見、股下長めのサイズを期待しても無意味な様に思えますが、通常よりもレングスが短くて当たり前なスキニーやテーパードタイプのカーゴパンツが多いので見逃せません。
サイズ表だけで判断するとレングス不足に感じますが、裾幅の狭いスキニーやテーバードタイプでは、いつものサイズより5cm程度短くても十分に着こなせ、足元がスッキリして見える利点があります。
細身のパンツは踝(くるぶし)よりも気持ち長めのレングスが主流なので、カジュアル系カーゴパンツはスキニーやテーパードなどのシルエットが狙い目でしょうか。
ミリタリー系カーゴパンツ
カーゴパンツの中でも股下長めのサイズが最も見付かりづらいのが、このミリタリー系カーゴパンツです。
稀にインポート物で股下丈88cmのミリタリーカーゴが出回る事もありますが、有名処の”ROTHCO/ロスコ”や”AVIREX/アヴィレックス”、”ALPHA/アルファ”などミリカジで名の通ったブランドでは、最長でも股下丈84cmくらいが標準です。
股下が84cmもあれば、ギリギリ腰履きで誤魔化せるのでは?と考えますが、レングスの長いサイズはウエストも大き目なので細身の方では、やや不恰好な着こなしになってしまいます。
好みはわかれますが、ミリタリー系カーゴパンツは素直にブーツインしたほうが短さを誤魔化せる気がしますね。
股下丈(レングス)の長いカーゴパンツはどこで手に入る?
前項で、カーゴパンツの種類によって股下丈(レングス)の長さに結構な違いがある事を説明しましたが、ここでは股下86cm以上のカーゴパンツを取扱っているブランドやトールサイズのカーゴパンツを手に入れるちょっとした裏技について紹介します。
mont-bell/モンベル
アウトドアブランド界のユニクロと呼ばれる“mont-bell/モンベル”ですが、少数ながらも質の高いカーゴパンツを取り扱っています。
その中でカジュアル用としても使い勝手が良いのが“ストレッチカーゴパンツ”で、流石にアウトドアを専門とする会社の製品だけに、ストレッチ性や撥水性など機能面の優秀さは折り紙付きです。
サイズはS~XLまでと標準的ですが、各サイズには股下丈が6cm長いトールサイズが存在しています。S-L~XL-Lと言ったサイズ表示になり、末尾にトール丈を意味する『L』が付いています。
最長のXL-Lサイズは股下91cmまで対応していますが、トール丈などの特殊サイズは取扱っているお店が少なく、ネットショップで検索しても探し当てるのに一苦労すると思います。
L.L.Bean/エルエルビーン
ビーンブーツやトートバッグが人気の“L.L.Bean/エルエルビーン”ですが、カーゴパンツに関して言えば穴場中の穴場かも知れません。
カーゴパンツの品揃えが大変豊富で、アウトドア系・ミリタリー系・カジュアル系など殆どの種類が網羅されています。
日本人向けのジャパン・フィットというサイズの他に、製品によっては米国フィットと呼ばれるトールサイズが準備されていて、レングスは34インチ相当の股下丈86cmまで選ぶ事ができます。
米国発のブランドだけにスキニーやテーパード仕様のカーゴパンツには全く期待できませんが、サイズと共にカーゴパンツ本来の無骨さを求めるなら、外せない選択肢です。
Eddie Bauer/エディー・バウアー
“Eddie Bauer/エディー・バウアー”もエルエルビーンと同じ米国発のアウトドア系ブランドです。
アウトドア系・カジュアル系のカーゴパンツが2~3種類とやや控えめですが、カジュアル系カーゴパンツはエルエルビーンよりもシルエットがスッキリしているので、街着などの普段使いにはこちらの方が向いている印象です。
エディーバウアーの凄さは裾未処理の製品が簡単に手に入るところで、股下丈90cmのトールサイズカーゴパンツがいつでも買えてしまいます。
ちょっとした裏技を使うことで裾上げ処理が全くされていない“裾フリー”仕様のパンツが注文でき、最もウエストサイズの小さい29インチからでも超ロングレングスが実現可能なのは、細身で長身の方にとって朗報かも知れません。
因みに、エディーバウアーの実店舗ではウエストサイズに合わせて裾上げしたパンツを販売しているので、この方法はオンラインストアでしか通用しません。
【追記】残念ながら、エディーバウアーは2021年秋に国内から撤退。トールサイズが買える希少なショップだっただけに落胆を隠せませんが、再進出に期待したいところです。
まとめ
ジョガーパンツやイージーパンツの登場で日陰の存在になりつつあるカーゴパンツですが、たまに履くと6インチスマホがポケットに難なく収納できたりと、実用性の高さを再確認させられます。
ユニクロでも数年前からカーゴパンツの取り扱いが無くなり寂しい限りですが、カーゴパンツのサイズ選びでお困りの方は、今回紹介したブランドや取扱店が力になってくれると思います。
余談ですが、カーゴパンツの無骨さを残しながらも美しいシルエットで個人的にお気に入りだったDickies/ディッキーズの“WD6876”がいつの間にか生産終了になっていました、野暮ったさを全く感じない秀逸なスリムカーゴだっただけに残念です。