体格に恵まれた方にとって洋服のサイズ選びは悩みの一つですが、もう一つの悩みと言えるのが靴のサイズについてです。
体型が大きくなると体を支える為に足のサイズも大きくなり、当然のことながら靴のサイズも普通より大きな物を選ばなくてはいけません。
大きいサイズの靴がなかなか見つからないという悩みは、女性に多くみられるようですが、男性の場合でも靴のサイズが28cmを超えると途端に流通量が少なくなり、同じ製品でも価格が割高になってしまいがちです。
無理をしてサイズの合わない靴を履き続けると足に深刻なダメージを受けますし、選択肢の少なさや割高な価格からも開放されたいところです。
そこで今回は誰でも簡単にできる裏技として、大きいサイズの靴が見付からない方はもちろん、買ってはみたものの微妙にサイズが合わず使わずじまいな靴にも試せる、『靴のサイズを少しだけ大きくする方法』について紹介してみたいと思います。
サイズが微妙な海外製シューズ
私は普段履き用にメレル社のジャングルモックを愛用しています。
全世界で1200万足を販売するほどの人気商品なのでご存知の方も多いと思いますが、紐無しのシンプルな作りながらクッション性が良く、とても歩きやすい靴です。
海外メーカーの製品なので日本人の足型とは微妙に合わず、大半の方はワンサイズからツーサイズ大き目を選択します。私の場合、足のサイズが実寸で27.5cm、革靴ならサイズはいつも28cmを選び小さい作りのジャングルモックでは、余裕を持たせて1cm大きいサイズが理想です。
そうなるとジャングルモックは28.5cmがジャストサイズという事になるのですが、悲しいかなメレルはサイズが28cmを超えると1cm刻みでしかサイズが存在しません。
小さいよりはマシだと、泣く泣く29cmを選びますが大きすぎて歩きづらい上に、メレル製で28cmを超えるサイズは取扱店が少なく、価格もほぼ定価なので全くお得感がありません。
履き心地や歩きやすさを改善したいのも勿論ですが、ジャングルモックは頻繁にセールで安売りされるので流通量の多いサイズ28cmをなんとかして自分の足にフィットさせたいところです。
ジャングルモックに限らず海外製の靴はやや小さめに作られていますし、28cmよりも上になるとサイズが1cm刻みになりがちなので、今回紹介する方法が役に立つかも知れません。
シューズストレッチャーで革を延ばす方法
参照元:DASCO
靴のサイズを大きくする方法として、シンプルかつ最も効果的な方法がコレです。
画像はイギリスのシューケアブランドDASCO/ダスコ製のシューズストレッチャーでスプレータイプのレザーストレッチ剤と併用する事でサイズ調整が可能になります。
一見すると高級靴の見た目や形状を維持する為に使うシューキーパー(シューツリー)に良く似ていますが、一般的にシューズストレッチャーと呼ばれシューズフィッターと言う商品名で取扱われている場合もあります。
国内メーカーからも発売されていて、男性用と女性用の二種類があり、左右同時に使える2個セットが標準ですが、片方ずつ使う1個だけの製品も販売されています。私は片方づつ伸ばすのが面倒なので2個セットを使っていますが、どちらを選ぶかはお好みでしょうか。
使用方法は見た目通りで、靴の中に入れて物理的に革を伸ばすことで靴のサイズを大きくします。つま先から踵までの長さと足幅(ワイズ)を調整する機能があり、ダボと呼ばれるプラスチック製の突起物を付ける事で足や指の骨が当たりやすい部分も伸ばして調整する事ができます。
シューズストレッチャーには対応サイズ「26.5~28cm」の様な表示が見られ、少し紛らわしいのですが、この対応サイズと言うのは大きくする前の靴の対応サイズの事で「このサイズまで大きく出来ますよ」という意味ではないので注意しましょう。
前述した通り、スプレータイプのレザーストレッチ剤と併用するのが鉄板で内側から塗布する事で革を柔らかくしなやかにする効果があります。革が伸びやすくなるのでシューズストレッチャーで力を加えても靴が破損しづらくなり、失敗を防ぐ事が出来ます。
シューズストレッチャーで注意する事
流石にシューズストレッチャーも万能ではなく、使用制限や注意しなければならない点が幾つかあります。
【天然皮革製の靴でしか使えない】
無理やり伸ばすという性質上、耐久力と柔軟性を兼ね備えた天然革製品にしか使えません。無理に伸ばそうとしなければ合成皮革や化学繊維製の靴にも使えるのですが、あくまでも履き慣らしの延長として使ったほうが無難です。また、ゴアテックス製の防水靴に使うと防水性を損なう恐れがあるので注意しましょう。
【ブーツには使えない】
ブーツに対応した特殊なシューズストレッチャーも僅かに販売されていますが、大半の物はブーツやハイカット・ミッドカットの靴には使えない形状になっています。
【サイズ1cmアップが上限】
レザーストレッチ剤を併用したり、条件が良かったりすると意外なくらい革が伸びますが、靴の形状が崩れますし破損の恐れもあるので、サイズアップは足長(サイズ)・足幅(ワイズ)共に0.5~1cm程度に留めておきましょう。
以上の3点が大まかな注意点になりますが「天然皮革限定」「サイズアップは1cmまで」が特に重要な部分です。私が試したジャングルモックは運良く豚皮のヌバックレザー製だったのでなんとか伸ばせましたが、レザーストレッチ剤は未使用で0.5cmほど延ばし、ダボで小指側を調整するに留めました。
サイズや履き心地は十分に修正されましたし、本格的な革靴ではないので、これ以上の伸ばしはリスクが大きいと判断した為です。
インソール(中敷)の交換も効果的
シューズストレッチャーほど劇的な効果は望めませんが、靴のインソール(中敷)を市販の薄い物に交換することでサイズに余裕を持たせる事が出来ます。
元から靴に入っているインソールの厚さにも寄りますが、足の指や爪の先などが靴のアッパーに触れてしまう方や足が甲高の方にはある程度の効果が望めます。
スニーカーやスポーツシューズなど、天然皮革製の靴以外でも使える方法ですから、奥の手として覚えておいて損はありません。
まとめ
私の場合、あと0.5cmだけサイズが欲しいという程度の悩みだったので問題なく今回の方法が使えました、おかげでセールで安く買える、サイズ28cmのジャングルモックで十分いけます。
因みに、適量の水を入れたジップロックを靴の中に入れて冷凍するという面白い方法もあります。水が氷ると体積が増えることを利用したサイズ調整法ですが、意外にも靴にダメージを与えづらい方法だそうです。一応、合成皮革にも使えるそうですが元に戻りやすいので数回繰り返す必要があります。
また、靴の修理屋さんでも靴巾伸ばし(くつはばのばし)と呼ばれるサイズ調整をしてくれるので、自分でやるのが不安な方は思い切って足を運んでみてはいかがでしょうか。