思い切って高価なアウターに手を出してみたものの、勿体なくてヘビロテできない……
そんな経験が誰しも一度はある筈。
かく言う私もその一人で、良い意味で雑に着られるアウターが欲しくなりました。
白羽の矢が立ったのは、ご存知ユニクロの「ハイブリッドダウンパーカ」で、私にとって久しぶりのユニクロ製アウター。
以前に、今でも冬の定番商品となっているユニクロのシームレスダウンパーカを試したことがあり、そのコスパの良さと機能性のバランスに驚かされましたが、その際の好印象がハイブリッドダウンパーカの購入に繋がりました。
価格が価格なだけに、過度な期待こそしていませんが、雪国住まいの私としてはハイブリッドダウンパーカの防寒性が気になるところ。
今まで各所で散々レビューされ尽くした大人気アウターですが
「ハイブリッドダンパーカで北国の冬は越せるのか?」
今回はこれをテーマに、実際の防寒性や着用感について感想を綴ってみたいと思います。
フードの作りが秀逸!ユニクロ「ハイブリッドダウンパーカ」の詳細
冒頭でも触れたように、基本的な部分は既に他の方が沢山レビューされているので、ハイブリッドダウンパーカの詳細は軽めの内容でお伝えします。
さて、私が購入したのはハイブリッドダウンパーカの2022-2023年モデル、3Dカットのニューバージョンです。
化繊中綿とダウンを部位ごとに使い分けているため「ハイブリッド」の名を冠していますが、胴体部分のダウンには750フィルパワーの物が採用されているとのこと。
また、背中・肩・腕のパターンが立体的な構造になっている上に、フードも立体的にブラッシュアップされている点が3Dカットたる所以です。
カラーは定番色のダークグリーンを選びましたが、屋内ではグレーのように、屋外ではオリーブのように見える不思議な色合いでしょうか。
サイズは私としては珍しくXLをチョイス。
身長180cm強の痩せ型につき、サイズ的にMでもLでも十分に着られますが、今回は身長を基準にしてオーバーサイズ気味に選んでみました。
因みに、ダウン系アウターは体とのフィット感が防寒性や保温性を大きく左右するので、安易にオーバーサイズを選ぶのはNG、寒い地域にお住まいの方は特に気を付けたい部分です。
まずはフードまわりに注目してみますが、前評判通りフードまわりの作りが綺麗で、整い方も秀逸。
フロントジップを開いていても閉じていても、フードまわりにだらしない印象が微塵もありません。
雪国住まいとしては、外観以上にフードそのものの実用性が気になりますが、街着用アウターだけにアウトドア用アウターと比べてフードは浅めの作りです。
一応、フード内側の左右にはドローコードが備わり、フィット感の調節ができるようになっていますが、フードのサイズ感がヘルメットではなく人体頭部を想定した立体裁断になっているため、出番は少ないかも知れません。
フロントジップにはしっかりと風除けのフラップが備わり、上部にはチンガードも完備。
唯一残念なのがダブルジップになっていない点で、今後のブラッシュアップに期待したいところ。
また、恐らく2022年モデルからの変更点だと思いますが、胸部ポケットが左右ふたつになり外観のアウトドア感が増しています。
先ほどの胸部ポケットもそうですが、ハイブリッドダウンパーカはポケットがかなり充実していますね。
胸部ポケット×2、内ポケット×2、腰部ポケット×4と、バッグ要らずな充実っぷり。
特に腰部ポケットの作りが素晴らしく、上部と側部の両方から手を入れられる上に、内室が別々という拘りようです。
袖口はリブにも内部リブにもなっておらず、ベルクロで絞るアウトドア用アウターによくある仕様が採用されています。
ベルクロはニット素材に対して攻撃性が高く、ニット系インナーとの相性はイマイチ。
インナーと干渉しづらい作りになっていて、ユニクロの配慮はそこかしこに感じますが、この部分もフロントジップと同じく今後に期待したい部分でしょうか。
裾まわりにはドローコードが備わり、フィット感の調節が可能。
細身の方がオーバーサイズを選ぶと、この部分を過剰に絞らないと冷気が回り込みを防げず、外観が不格好になりがち。
見た目や着こなしよりも、防寒性を重視したいならオーバーサイズではなくジャストサイズを選ぶのがおすすめです。
個人的に最も気になったのが、背中部分のメッシュ切替でしょうか。
ユニクロ公式によると通気構造になっているそうで、過剰な蒸れを逃し衣類内部を快適に保ってくれるとのこと。
メッシュの左右は750フィルパワーのダウンが詰め込まれているものの、中央部分はメッシュ地と表地の2レイヤー構造な予感。
下手をすればこの部分がコールドスポットになってしまうのでは?
そんな心配もしましたが、メッシュ地と表地の間にはしっかりと化繊中綿が備わっていました。
見た目も良く高級感もあるので、今では一番気に入っている部分です。
最後にちょっとした余談ですが、ユニクロ以外が同じような製品をリリースした場合、価格は倍以上になってしまうらしいです……コスパの良さは伊達じゃありませんね。
北国の寒さに耐えられる?ユニクロ「ハイブリッドダウンパーカ」の防寒性をチェック!
ようやく本題ですが、北国&雪国民としては最も気懸りな要素、ハイブリッドダウンパーカの防寒性をテストしてみます。
例によって、コールドスポットが体感しやすいようにインナーは肌着の上に薄手のロンTのみの軽装ですが、天候は曇り時々雪、気温4度で風速6m/sという、少し甘い環境での出発となりました。
まずはハイブリッドダウンパーカの着用感ですが、肩はこらないまでも若干重めの仕様ですね。
公式に値は記載されていませんが、計量してみるとXLサイズの重量は1000gちょうどくらいでした。
テストを兼ねた散歩中に、小雨・霰・雨雪と目まぐるしく変わる空模様の洗礼を受け、いきなりフードの出番がやってきます。
詳細でも触れた通りフードが浅く庇(ひさし)の無い作りになっているため、カバー範囲が不十分な印象。
私はメガネを愛用しているので余計にそう感じますが、頭部の濡れ防止や防寒には十分なものの、雪国の冬で使うなら、あと5cm深くするか2cm程度の庇が欲しいところでしょうか。
また、アウトドア系アウターはジップを上まで閉じた際、フード前側が顎に触れて煩わしく感じることがありますが、この点はタウンユースのアウターだけに大変優秀。
フード前面が気持ち低い作りになっていて、フロントを開いても閉じていても全くストレスは感じませんし、前評判通り首まわりの整い方も綺麗ですね。
続いて、防寒性を確認する上で見落としがちなポケットですが、腰部のハンドウォーマーポケットは内部の前側がフリース地になっていて、手袋要らずなあたたかさです。
ポケット部分に中綿こそ入っていませんが、ポケット側面から手を入れるとフリース生地が二重になってくれるため、強風下でも殆ど冷たさを感じませんでした。
さて肝心の防寒性ですが、住宅地などの遮蔽物が多い場所なら全く問題は感じず、暑くも寒くもないフラットな快適さが続きます。
ですが、荒天下で吹きっ曝しの河川敷を歩いてみると徐々に冷気を感じ始め、鎖骨付近のデコルテから肩口にかけてが特に顕著です。
ここがハイブリッドダウンパーカのコールドスポットか……と思いつつも、この感覚は過去にも覚えがあります。
数年前にレビューした同ユニクロのシームレスダウンパーカと全く同じ症状で、ユニクロ製アウターに共通する癖みたいなモノかも知れません。
上画像のような防寒性&重量チャートをユニクロHPで確認できますが、本当にこの通りといった印象で、総合的な防寒性はシームレスダウンを若干上回るレベルという評価になるでしょうか。
総評として、インナーを全く工夫せずに着られる気温は5度前後、冷気を感じずにいられる風速は5m/s程度まで。
それ以上の寒さに耐えるなら、インナーダウンやフリースを併用する必要がありそうです。
比較対象として適切かどうかはわかりませんが、防寒性は化繊中綿アウターとして人気のアークテリクス「アトム ヘビーウェイトフーディー※旧AR」と同程度か、若干上回るくらいでしょうか。
まとめ
後日に気温4度で風速3m/sの状況下、アンダーウェアにパタゴニアのR2テックフェイスジャケットという組み合わせで外出してみましたが、今度は徒歩2kmで汗を掻くほどのあたたかさでした。
流石に、気温が氷点下で風速10m/s前後ともなると寒さに太刀打ちできそうもありませんが、インナーを一工夫することで北国の冬でも十分に活躍してくれそうです。
最後に余談ですが、ユニクロは毛皮と同様にダウンを衣類に使えなくなる時代が到来すると想定していて、近年は「パフテック」シリーズといったダウンを使用しない100%化繊中綿のアウターに力を入れています。
既にパフテックパーカといった製品もありますが、あと数年もしないうちに見た目がハイブリッドダウンパーカそっくりで、中綿が化繊100%の製品がリリースされるかも知れませんね。