毎年、夏になると頭を悩ませるのが発汗による汗ジミです。
多くの方が、市販の制汗剤や使い捨ての汗ジミ防止用品で対応していますが
ここ数年で一気に種類の増えた汗ジミ・ワキ汗防止インナーを併用すれば
目立ちやすいYシャツやTシャツなどの汗ジミを最低限に抑える事も可能です。
今回は、気温の上がる夏場だけでなく一年を通して活用できる
オススメの汗ジミ防止・ワキ汗防止インナーを幾つか紹介すると共に
汗ジミが出来づらくなる方法についても簡単に触れてみます。
相乗効果で汗ジミを防止する方法
各社から発売されている汗ジミ防止インナーを紹介する前に
ワキ汗による汗ジミを効果的に防止する方法について触れておきます。
温度調節や緊張やストレスによる発汗量には
個人差があるため一概には言えませんが
効果の高い海外製の制汗剤を利用したり、使い捨ての汗ワキパッドを利用したり
今回紹介していく汗ジミ防止インナーを利用しても
それ単体では、十分な効果を得られることは少ないです。
ですが、複数の方法を併用することで
目立ちやすい脇の下の汗ジミをシャットアウトすることは十分可能で
特に市販の撥水・防水スプレーの使用が効果的です。
靴やアウトドアウェアに使用するこれらのスプレーには
シリコン樹脂系とフッ素樹脂系の製品がありますが
通気性が良いのはフッ素樹脂系のスプレーで
衣類の汗ジミ防止専用の製品も幾つか販売されています。
使い方は簡単でシャツの脇部分に内側からスプレーするだけですが
パッドやインナーを突破してきた汗を撥水効果で生地に染み込ませない
最終防衛ラインの役割を担ってくれます。
どの方法も単体では効果が確実ではないので
汗ジミ・ワキ汗対策は複数の方法を併用するのが基本です。
ユニクロ
トップバッターは誰もが知る、ユニクロのエアリズムからです。
ベーシックタイプやシームレスタイプ、メッシュタイプと種類が豊富で
首まわりの形状やカラーバリエーションも、YシャツやTシャツ用のインナーとして
実用的なラインナップを揃えています。
薄く肌触りの良い生地は速乾性が高く、普通にインナーとして重ね着しても
コットン製よりも汗ジミは出来づらいのですが
汗取り用のパッドが標準装備された汗ジミ防止インナーではないので
汗の量が一定ラインを超えると、重ね着したトップスに汗ジミが出来てしまいます。
また、致命的な欠点として使い捨ての汗ワキパッドとの相性が悪い特徴があり
パッドの粘着面が化繊主体の生地に上手く張り付いてくれません。
汗ジミ対策用としては、力不足は否めませんが
発汗量の少ない方や季節によっては
インナーにエアリズム+トップスに撥水スプレーの組み合わせで
ある程度の効果が見込めると思います。
グンゼ
昨今はユニクロ製の下着を使う方が増えていますが
直接肌に触れる衣類だけに、拘り派の方はやはりグンゼを選びます。
グンゼの汗ジミ・ワキ汗防止インナーには
YGなどのパッド付タイプとSEEKなどのパッド無しタイプがあり
パッド無しのSEEKは裏地で吸収した汗が表地に染みだしにくい作りになっていますが
裏地に撥水加工がされている訳ではないので、過度な期待は禁物です。
また、パッド付きのインナーはワキ汗をしっかりとキャッチすることで
アウターへの汗ジミを予防する仕組みなので
このパッド自体に、汗のアウターへの浸透を防ぐ機能はありません。
下着メーカーは着心地の良さをないがしろに出来ないため
正直、汗取りパッドを含む機能面には物足りなさを感じますが
日本を代表する下着メーカーの製品だけに
パッド付きでも着心地やフィット感が良く、重ね着しても外に響きづらいです
首まわりの作りも選択肢が豊富ですし、カラーバリエーションには
ベージュ系がしっかりと含まれています
グンゼ製もエアリズム同様に大量のワキ汗には無力ですが
脇部分に工夫がある分、エアリズムよりも汗処理のキャパシティは上です。
因みに、グンゼには『in.T/インティー』というTシャツ専用のインナーも存在します。
スリーブレスタイプとTシャツタイプの二種類があり
スリーブレスタイプには大型の汗取りパッドが備わったモデルも準備されています。
シルエットに影響しないカットオフ仕上げなのはもちろんですが
深めのクルーネックにより、Tシャツの襟からインナーがチラ見えしづらい作りです。
カラーバリエーションにホワイトが無いのが少し残念とはいえ
ブラックやベージュ系のカラーが卒なくラインナップされ
Tシャツ専用だけに汗染み対策だけでなく、透け対策にも力の入った製品ですね。
評判も上々なので、Tシャツ専用にしておくには惜しいくらいの製品でしょうか。
B.V.D.
下着メーカーとしては前述のグンゼのライバルにあたる
フジボウアパレルのB.V.D.からも”DRY CONTROL/ドライコントロール”や
“COOL edit/クールエディット”などのパッド付きインナーがリリースされています。
ひたすらシンプルだったグンゼとは異なり、BVD製の汗ジミ・ワキ汗防止インナーは
脇部分を2重構造にすることで機能性が強化され
メインの生地には、汗や湿気で生地が伸び縮みして通気性をコントロールする
通気性ベンチレーションと呼ばれる機能を備えた新素材が使用されています。
グンゼ製も首まわりの形状が豊富に用意され、カラーバリエーションには
使い勝手の良いベージュ系がしっかりと含まれています
パッドが2重構造になっている分だけ、グンゼよりも僅かに機能性に勝りますが
違いは殆ど無く、どちらを選ぶかは好み次第でしょうか。
ワコール
女性向け下着のイメージが強いワコールですが
ブロス/BROSという男性用下着ブランドが存在し
汗ジミ・ワキ汗防止インナーも少数ですがリリースされています。
『汗ジミ防止』ではなく『汗ジミ軽減』という控えめな謳い文句には
好感が持てますが、パッド部分のシンプルさはグンゼ製に近く
本体生地の機能性はB.V.D.の通気性ベンチレーションと同じような機能を備え
両者のハイブリッドの様な印象ですね。
こちらのインナーはワキだけでなく背中部分にも汗ジミを軽減する機能があり
この部分に施された凹凸のある生地が水分を拡散することで
アウターに汗がダイレクトに浸透するのを防いでくれます。
首まわりの形状はVネックのみで、カラーバリエーションにも
ベージュ系が無いのが残念ですが、ポリエステルの混紡率がほぼ100%と高いので
他の製品と比べて速乾性や耐久性に期待できるインナーです。
ベルメゾン
通販大手のベルメゾンからは“サラリスト/salalist”という名前の
汗取りインナーが発売されています
汗取りインナー専門のブランドを持っているだけに
ボトムス用インナーも含めてアイテム数は相当充実しています。
女性用が大半ですが男性用も用意され、パッドが2重構造になった通常タイプと
3重構造になった“大汗さん”モデルがあり
どちらのインナーにもパッドの中間層に防水布が使用され
パッドで吸収した汗の水分がアウターに到達しない仕組みになっています。
吸汗層の他にフィルム状の防水層が備わっている点が今まで紹介してきた
下着メーカー製インナーと大きく異なる部分ですが
着心地の良さを手放せない、大手の下着メーカーが越えられなかった壁を
やすやすと越えてしまった印象でしょうか。
当然、脇の下には違和感があり、着心地が犠牲になっていますが
この割り切った仕様は個人的に嫌いではありません
効果の高い汗ジミ・ワキ汗防止インナーを求めるなら避けて通れない仕様です。
2層構造のベーシックタイプにはポリエステル混紡とコットン100%の二種類があり
3層構造の”大汗さん”はポリエステル混紡タイプのみです
首まわりの形状は深Vネックのみで、ベージュ系のカラーは
コットンタイプにしかありません。
メンズ用のサラリストは、下着に求められる快適な着用感を犠牲にして
汗取りに全振りした製品とも言えますが、パッドのサイズが前側と袖側に対して
やや不足している点が今後の改善点になるでしょうか。
セシール
セシールからは主力の“スマートドライ/Smart Dry”シリーズを中心に
バッド付きの汗ジミ・ワキ汗防止インナーがリリースされています。
“大汗さん”よりも一層多い、4重構造のインナーや
ベルメゾン製の弱点だった前側と袖側のパッド面積が強化されたインナーがあり
両者とも中間層に防水布が使用されています。
目立つ前側の汗、いわゆる『前汗』に特化した製品ということで
こちらには他社には見られない独特な形状をした大き目のパッドが使用されいます。
カラーバリエーションに乏しくホワイトやライトグレーしか選べませんし
首まわりもUネック気味の深Vネックしか選べませんが
防水布層のある、前汗特化型インナーは利用者の評価が高く
汗ジミ防止機能を維持しつつも、普段使いできるインナーの範疇に
ギリギリとどまっている絶妙な立ち位置の製品かも知れません。
ベルオアシス
この“ベルオアシス”はブランド名でもメーカー名でも製品名でもなく
使用されている素材の名称です。
帝人が開発した素材で、吸水性能は自重の80倍を誇り
除湿が必要となる寝具のマット部分にもよく利用されています
この素材を汗ジミ・ワキ汗防止インナーにも使ってしまおうと考え
製品化したのが上画像のインナーです。
何が何でも汗ジミを防止したい場合にオススメで
画像を見てもわかる通り、特大パッドの存在が
インナーとしての着心地や見た目を完全に犠牲している、大変潔い良い製品です。
透けやすい薄手の白いYシャツに合わせると、パッドの存在がバレバレですし
着心地もかなりゴワつくので、タイトなシャツとの相性も悪いですが
その分、汗ジミ防止効果は絶大で他社製インナーとは土俵が違います
成人用失禁パンツにも使用されている素材だけあって
片側で100ml程度の汗(ちょうどリ〇ビタンD一本分)くらいなら
一気に吸収することが出来てしまいます。
因みに、パッド部分の素材にポリウレタンフィルムと記載があり
これは、他社製インナーでいうところの防水布に相当します
素材の構成や作りを見る限り、こちらの製品は前述した失禁パンツや
女性の生理用品を参考にして作られている様で
機能面は他の製品とは一線を画し、力技で汗ジミをねじ伏せるタイプのインナーです。
キュライン/Qlein
特大のパッドを使用している点では、こちらの“キュライン/Qlein”も
ベルオアシス使用のインナーと同様に、力技で汗ジミを防止する製品です。
着用時のゴワつきや着心地を改善するために
厚さを19mmに抑えたパッドを使用していますが
Mサイズでも縦25cm×横19cmと大きいので、吸汗量は損なわれません。
パッドを薄く広くすることでベルオアシスよりも
インナーとしての着心地や使い勝手は向上していますが
本体がポリエステル製、パッドのみコットン製という特殊仕様のせいで
速乾性に不安があり、パッドの吸水量がリミットを超える様な大汗を掻くと
このサイズをもってしても汗ジミが防ぎきれない場合があります。
天然素材であるコットン製のパッドは、繰り返し使用しても
悪臭が付きづらいですし、肌トラブルも少なくなりますが
長時間に渡って使用する場合はパットの吸水量に注意を払う必要がありそうです。
クレール/CREAL
大型の汗取りパッドを備えつつも、ベルオアシスほど極端ではなく
キュアラインよりも機能性に優れるのが、この“クレール/CREAL”です。
インナーショップクレールが販売している大変評判の良いインナーで
パッドは抗菌防臭加工された吸水2重パイルと防水布で構成され
ベルメゾンやセシールなどの通販系インナーの弱点だった
パッドのカバー範囲が強化されている印象です。
大型パッド使用した力技系のインナーの中では比較的パッドが目立たない作りで
本体の素材には、吸汗速乾性に優れる”クールマックス”や
東レの”エアロタッシュ”が使用されているのもポイントが高いです。
ポリエステル100%のインナーでは珍しく、ベージュなどの使いやすい
カラーバリエーションがあり、首まわりの形状も
クルー、V、深V、Uネックと大手下着メーカー顔負けの充実ぶりです。
当然の事ながら、着用時は脇の下が若干ゴワつきますが
十分に許容範囲で機能面を含めた使い勝手はトップクラスです。
アンダーアーマー
最後に紹介するのが、知名度抜群なアンダーアーマーです。
アンダーアーマーには寒い時に着用するコールドギアと
暑い時に着用するヒートギアがありますが、汗ジミ・ワキ汗防止には
体に密着するコンプレッションタイプのヒートギアが効果的です
因みに、商品名のイメージがユニクロとは逆になっているので
勘違いして、真夏に冬用のコールドギアを購入しない様に注意しましょう。
アンダーアーマーのコンプレッションウェアは吸水速乾性が非常に高く
汗が生地に触れると、瞬く間に水分が吸収・拡散されるので
汗の水分がダイレクトに伝わらず、アウターに響きづらいです。
あらかじめアウターの脇部分に撥水スプレーを使用しておくと更に効果が高まり
大量の汗をかかない限り、十分な汗ジミ防止効果が得られます
また、体のラインにぴったりとフィットしてくれるので
今回紹介した汗ジミ・ワキ汗防止インナーのさらにインナー用としても使えます。
余談ですが、アンダーアーマーのクルーネックタイプは首の後ろ側に
“ARMOUR”とスポーツウェア丸出しの横文字がプリントされていて
カジュアルやフォーマル用途での重ね着には不向きです
プリントが気になる場合は、高校球児でも着られる様に配慮された
ベースボール用のアンダーアーマーを選びましょう
ノーマルタイプと比べて、露出しやすい部分の装飾が大人しくなっています。
まとめ
発汗量には個人差があるので、どのインナーを使うのがベストなのか断言はできませんが
見た目や着心地を度外視すればベルオアシス素材を使ったインナーが
最も汗ジミ・ワキ汗防止効果が高いです。
実際に普段使いするとなると、グンゼのin.T・セシールのスマートドライ・クレールあたりが
有力候補となりそうですが、海外製の制汗剤や使い捨ての汗ワキパッド
汗ジミ専用の撥水スプレーやアンダーアーマーなどを併用して
効果をより確実なものにすることをオススメします。
私は専ら、インナーにアンダーアーマー、アウターに撥水スプレーで
夏場の汗ジミ対策をしていますが、撥水スプレーは
衣類用ではなく靴用のアメダスを使用しています
アメダスは通気性のあるフッ素樹脂系なので、衣類にも流用でき
下手な撥水・防水スプレーよりも効果が強いので大変便利です。